H23年度税制改正決定−2

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こんにちは、税理士の中東(なかひがし)です。



前回からの続きです。


■減価償却資産の償却率の見直し

減価償却資産の定率法の償却率について、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.0倍(現行:2.5倍)した数とします。

先ほどの法人税率の改正は最終的に実効税率が下がりますので減税改正ですが、この減価償却資産の償却率の見直しは、償却額が当初減ることになりますので増税改正となります。

ちなみに、現行の2.5倍とする定率法の償却率については、平成19年度税制改正により実施されたものであり、税制が右へ左へと振れていますので、経理実務が混乱しないか心配です。


■欠損金の繰越控除制度の見直し

(1)青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額について、次に掲げる法人(以下「中小法人等」)を除き、その繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得の金額の100分の80相当額とします。

・普通法人のうち、資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの(資本金の額が5億円以上の法人による完全支配関係がある法人等を除く)又は資本若しくは出資を有しないもの(相互会社を除く)

・公益法人等又は協同組合等

・人格のない社団等

この改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用します。

(2)青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間を9年(現行7年)に延長することとします。

また、その欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存を適用要件とします。

この改正は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額について適用します。

ということで、中小法人等であれば、欠損金の制限を受けることなく、単に繰越期間の延長となりますので、減税改正といえます。


■貸倒引当金制度の見直し

貸倒引当金制度について、適用法人を次の法人に限定します。

(1)中小法人等

(2)銀行、保険会社その他これらに準ずる法人

また、適用除外法人については激変緩和措置として、平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間に開始する事業年度については現行の規定による繰入限度額の4分の3、同年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度については現行の規定による繰入限度額の4分の2、同年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度については現行の規定による繰入限度額の4分の1までの繰入れができる等の経過措置を講じます。

この見直しも、中小法人等であれば影響がありません。

(注)今回の内容は平成23年度税制改正大綱をベースに書いていますので、取扱いについては税の専門家にご相談ください。

次回に続きます。
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H23年度税制改正決定−1

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こんにちは、税理士の中東(なかひがし)です。

今日は、税制改正についてお話しします。



■平成24年ではなく、平成23年度税制改正

例年なら年末になると、来年の税制改正(平成24年度税制改正)の行方の議論が新聞紙上をにぎわします。

しかし平成23年の年末はだいぶ様相が異なりました。
平成24年の税制改正議論と合わせて、平成23年度税制改正の議論も大きく取り上げられていたのです。

平成22年末に政府が決めた「平成23年度税制改正大綱」が、平成23年の1月25日に、「平成23年度税制改正の当初法案(所得税法等の一部を改正する法律案)」として国会に提出されましたが、反対多数で未承認となりました。

そしてその後、与野党協議等を経て、6月10日の分離修正で2法案に分割され,そのうちの1つ「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」が6月30日に公布施行となりました。

さらに残った「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」が、10月28日の内閣修正と11月24日の衆議院の修正議決を経て11月30日に可決成立し、12月2日に公布施行となりました。

今回はこの平成23年税制改正の積み残しともいえる、12月2日より公布施行された「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」について解説します。

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第179回国会における財務省関連法律

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■法人税率の引下げなど

当初の平成23年税制改正の目玉項目であった「所得税法や相続税法の改正」は今回は見送られました。

また、国税通則法のうち、納税者権利憲章や新たな税務調査手続の追加に関する部分等も法案から削除されました。

今回、最終的に決まった税制改正項目は主に以下となります。

・法人税率の引下げ(但し別途、復興増税有り)

・減価償却資産の償却率の見直し

・欠損金の繰越控除制度の見直し

・貸倒引当金制度の見直し

・更正の期間の延長

・更正の請求範囲の拡大


■法人税率の引下げ(但し別途、復興増税有り)

各事業年度の所得に対する税率について、普通法人の税率を25.5%(現行30%)とし、中小法人(一般社団法人及び一般財団法人並びに公益社団法人及び公益財団法人を含む)又は人格のない社団等の軽減税率を19%(現行22%)とし、公益法人等又は協同組合等の税率を19%(現行22%)とします。

この改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用されます。

ただし、中小企業者等の法人税率の特例について、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度の所得の金額のうち年800万円以下の金額に対する法人税率を15%(現行18%)に引き下げることとします。

法人税等は実効税率ベースで約5%引き下がるのですが、別途、復興特別法人税が課されることが既に決まっています。

復興特別法人税とは、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度(課税事業年度)について、各課税事業年度の課税標準法人税額に10%の税率を乗じて計算した金額を課税するものです。

ということで、だいぶややこしいですが、一般的な中小企業(普通法人)であると、平成24年4月1日以後開始する事業年度から、

課税所得800万円以下の部分・・・現行18%(→15%)→新16.5%
課税所得800万円超の部分・・・・現行30%(→25.5%)→新28.05%

国税と地方税を合わせた実効税率・・・現行40.69%(→35.64%)→新38.01%
(東京都の場合)

となります。

(注)今回の内容は平成23年度税制改正大綱をベースに書いていますので、取扱いについては税の専門家にご相談ください。

次回に続きます。
posted by: 中東 久美子 | 【コラム】税務会計 | 09:05 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |